社団法人日本耳鼻咽喉科学会東京都地方部会例会
第9回臨床学習セミナー
- 担 当 : 日本医科大学 耳鼻咽喉科学教室 〒113-8655 文京区千駄木 1 − 1 − 5 TEL 03 - 3822 - 2131 FAX
03 - 5685 - 0830
- 日 時 : 平成19年9月22日(土) 午後2:00〜6:00
- 会 場 : 明治製菓株式会社ビル 地下 1 階 大ホール 東京都中央区京橋 2 − 4 − 16 TEL 03 - 3272 - 6511 (案内図は裏表紙をご覧下さい)
- 交 通 : JR東京駅八重洲中央口から徒歩 5 分 東京メトロ地下鉄銀座線・京橋駅下車徒歩 2 分
- 参加費 : 3,000円
]ご注意
通常事前に配布されていたテキストは作成いたしません。
今回より当日に参考資料をお配り致します。
参加ご希望の先生は同封いたしました振替用紙にて、お 申込み下さい。なお、当日会場に於いても受付いたします。
*ご出席の皆様へ
学術集会参加票はご署名の際に手渡し提出となります。受付は終了 1 時間前までとさせていただきます。
臨床学習セミナー
−頭頸部癌−(14:00−16:45)
- 口腔・咽喉頭癌早期診断のこつ 座長 野中 学(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
中溝 宗永(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
- 甲状腺・唾液腺癌早期診断のこつ 座長 富山 俊一(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
吉原 俊雄(東京女子医科大学 耳鼻咽喉科)
- 頭頸部領域における FDG-PET の有用性 座長 青木 秀治(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
汲田伸一郎(日本医科大学 放射線医学)
―――――休憩(16:45―17:00)―――――
特別講演(17:00−18:00) 司会 馬場 俊吉(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
医療訴訟の現状から学ぶ〜今、何をすべきか
小林 弘幸(順天堂大学医学部総合診療科・病院管理学)
臨床学習セミナー−頭頸部癌−(14:00−16:45)
- 口腔・咽喉頭癌早期診断のこつ
座長 野中 学(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
中溝 宗永(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
様々な疾患を持った患者が来院する耳鼻咽喉科外来で、頻度の少ない口腔・咽喉頭癌を早期に診断するこつは、一言で言えば“がんを疑うこと”かもしれない。しかし、それのみでは非能率的である。多くの口腔・咽喉頭癌は、生活習慣などの外因によって発生しうることを考慮して、ハイリスクの症例に注意を払うことが肝要である。
そこで、受診早期からがんを疑う必要がある症例を知るには、病歴聴取は極めて重要であり、周知の喫煙・飲酒歴はもとより、鉄欠乏性貧血、海外渡航歴、職業などを含めた既往を拾い上げる機会を設ける。また病悩期間、症状の質的・量的な経時変化について必ず尋ねる。診察は、普段から口腔・咽喉頭の亜部位を隈なく系統的に診る手順を決めておくが、年齢・性別、現病歴によって注意具合にメリハリをつけ、歯並びや歯牙の衛生状態も参考にしながら診察する。視診上、小病変では左右の比較を行い、触診可能な病変では、硬度や拡がり、圧痛の有無などの所見も得るように心がける。
最近では、PET や NBI(Narrow Band Imaging)など、早期に癌診断が可能な検査法も普及したが、生検を行わなければならない場合があることも銘記しておく。
甲状腺・唾液腺癌早期診断のこつ
座長 富山 俊一(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
吉原 俊雄(東京女子医科大学 耳鼻咽喉科)
甲状腺と唾液腺の癌は耳鼻咽喉科医にとって早期診断を行うことが重要であるが各々の腫瘍の性状、臨床経過は異なる。甲状腺では嚢胞、腺腫様甲状腺腫、濾胞腺腫と悪性腫瘍の鑑別が重要となり、本邦では癌の85−90%は乳頭癌である。診断は超音波(US)検査が主体となり、US
下の FNA が有用で、とくに乳頭癌の診断的意義は高い。201T 1 シンチグラフィーは必須ではないが陽性例の術後の再発・転移の検索に有用である。一方、唾液腺癌は大唾液腺と小唾液腺から同様の癌が発生しうるが、頻度は耳下腺に最も多く、次いで顎下腺であり、両腺の術前診断が重要となる。腫瘍の増大のスピード、疼痛の有無、顔面神経麻痺、可動性の有無、皮膚との癒着などが悪性の診断に重要であるが早期では全ての所見は必ずしも認められない。また甲状腺に比べ病理診断が多彩なことも術前病理診断をしばしば困難とする。超音波検査、CT、MRI、FNA、PETなど核医学検査、FNA
など唾液腺癌早期診断における各々の特徴と意義について述べたい。
- 頭頸部領域における FDG-PET の有用性
座長 青木 秀治(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
汲田伸一郎(日本医科大学 放射線医学)
本邦では2002年 4 月に PET 製剤である18F-FDG が保険適応となり、いわゆるクリニカル PET の幕が開けた.これまでの癌診断が CT、MRI、超音波など形態学的診断が主体であったのに対し、FDG-PET
検査は腫瘍の糖代謝を画像化して悪性診断に用いるという機能的診断法である。頭頚部領域でも「他の検査、画像診断により頭頚部癌の存在を疑うが、病理診断により確定診断が得られない患者」「他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない患者」の
2 項において保険適用が認められており、頭頚部関連項目として「悪性リンパ腫」「原発不明癌」においても保険適用となる。頭頚部癌の診断に際し、従来の形態診断に
FDG-PET の機能情報を加味することにより、良悪性の鑑別、治療効果の判定あるいは再発診断などにおける有用性が認められている。頭頚部領域の特徴として解剖学的構造の煩雑さが挙げられるが、CT
との同時撮影が可能な CT-PET 装置が普及してきており、診断能の向上が得られている。今後も頭頚部領域の PET 診断におけるエビデンスを構築しつつ、その臨床的有用性・意義が評価・確立されることを大いに期待したい。
―――――休憩(16:45―17:00)―――――
特別講演(17:00−18:00) 司会 馬場 俊吉(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
- 医療訴訟の現状から学ぶ〜今、何をすべきか
小林 弘幸(順天堂大学医学部総合診療科・病院管理学)
医療訴訟の件数が、昨年度は1000件を超える過去最高の件数が報告されている。
この原因の一つとして、患者の医療訴訟に対する意識の高まりが挙げられ、最近、様々な医療事故が毎日のように報道され、国民的な関心ごとになっている。
又、判示認容額が一億円を超える、これまでに類を見ない高額な事例の出現(年々増加する医療訴訟の発生、高額賠償金のため、保険会社も、契約金額を増額するとのうわさも聞くところである)、認容率(原告である患者側の要求が認められる割合)の増加、医療訴訟を専門とする弁護士の増加、最高裁判所における医事関係訴訟委員会の設置、各地方裁判所での医療訴訟の専門部署の設置、医療に関する専門的な知識を持つ裁判官の増加など、数年前までとは全く違った環境が我々医療従事者を取り巻いているのである。
医療事故には、1 )防げることと、防げないことがあること。2 )訴訟に至るものは、事故の重症度と決して比例していないことなどを考えあわせると、明日はわが身といえるのである。医療事故の発生をなくすことが、もちろん最終目標であるが、不幸にも予期せぬ事故が起きたとき、医療従事者が何をすべきかを考えることが重要となってくるのである。
- お問い合わせ先:日耳鼻東京都地方部会事務局
TEL:03-3256-3387 FAX:03-3256-3389