社団法人日本耳鼻咽喉科学会東京都地方部会例会
第5回臨床学習セミナー


*テキスト、参加ご希望の先生は同封いたしました振替用紙にて、お申込み下さい。約 1 週間前にテキストをお送り申し上げます。なお、当日会場に於いても受け付けいたします。
*ご出席の皆様へ
 学術集会参加票は、御署名の際に手渡し提出となります。受付は終了 1 時間前までとさせていただきます。


挨  拶(14:00−14:05) 森山  寛(東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科)

臨床学習セミナー
―睡眠時無呼吸症候群―(14:05−18:00)
司会:中島 庸也(東京歯科大学市川病院耳鼻咽喉科)

  1. 1 .精神科からみた睡眠呼吸障害 ―過剰な眠気(EDS)に注目して―
    林田 健一(東京慈恵会医科大学精神神経科)
      睡眠呼吸障害(SDB)の主要症状である Excessive Daytime Sleepiness(EDS)の主な要因は、繰り返す呼吸イベントによる睡眠の分断化であるが、睡眠習慣や、眠気の認知(性格特性)の影響も受ける。社会的にも重要視される SDB における EDS の評価には、睡眠障害全般を診察するスキルも要求されるため、当日は症例を通じての実践的アプローチ、ならびに背後に潜む精神医学的問題について言及したい。
  2. 内科から見た睡眠呼吸障害 ―危険な循環器合併症について―
    望月 太一(東京慈恵会医科大学呼吸器科)
      SAS は国内では平成16年度より NYHA 3 度以上の慢性心不全でチエーンストーク呼吸によって AHI 20以上の認定例で在宅酸素療法が保険導入され、米国の高血圧合同委員会代 7 次勧告(JNC-VII)では 2 次性高血圧のトップに上げられた様に循環器疾患との関連が示唆されている。又生活習慣病とも密接に関連している。以上を踏まえ循環器合併症との関連中心に、さらに自験例での胃食道逆流疾患との関連を述べる。

    ――― 休   憩 (15:45−16:00)―――
  3. 睡眠呼吸障害診療に必要な検査 ―上気道所見から睡眠検査まで―
    樋上  茂(鳥取大学医学部感覚運動講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学)
      いびきや睡眠中の呼吸停止を特徴とする閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の確定診断と重症度を評価するためには睡眠ポリグラフ検査が必須である。一般的に睡眠の専門医は、病因検索と治療法選択のために、上気道の診察を必ず行っている。しかしながら、睡眠呼吸障害の発生原因は多様であり、覚醒時の上気道の広さが呼吸障害の状態を必ずしも反映しているわけではなく、各患者の病態を診断するためには、様々な検査結果を総合的に検討すべきである。今回は、OSAS および OSAS と鑑別すべき疾患の発生機序と病態を概説し、外来および入院で行う各検査の具体的な方法と有用性について述べる。
  4. 睡眠呼吸障害診療の課題と将来展望 ―医療連携〜予防?まで―
    千葉 伸太郎(太田総合病院耳鼻咽喉科・睡眠障害センター)
      睡眠呼吸障害は脳血管、循環器疾患など重得な合併症や生活習慣病と関連を持ち、日中の傾眠は社会的重大事故を引き起こす可能性のある疾患であることが明らかとなった。さらに最近では、小児の行動障害や学業成績への影響、さらには妊娠中毒症や低出生体重児などヒトの一生のサイクルであらゆる世代への影響が報告され、多くの診療科が集学的に取り組む必要性が求められている。今回は、睡眠呼吸障害の診療科間連携、病診連携さらには将来期待される予防治療等、現在の課題から将来展望について概説する。